※今週は家庭の事情でSakumag週報を配信することができなかったので、代わりにBusiness Insiderの有料記事として配信されている連載記事をお届けします。
この数年、日本でも「多様性(ダイバーシティ)」という言葉を耳にする機会が増えた。この原稿を読んでいるあなたは、多様性という言葉に何を感じるだろうか?
アメリカでは長いこと、ダイバーシティといえば文化や人種についての文脈で使われる言葉だった。白人の入植者が作った国がさまざまな場所からやってきた移民によって多民族化するなか、白人が支配してきた政治や経済の世界も多様化するべきだというプッシュが、特に公民権運動以降、起きてきた。
このダイバーシティの議論にジェンダーが含まれるようになったのは、アメリカでも近年のことだ。特に、ドナルド・トランプが大統領に立候補したことで、彼の過去のセクハラが追及され、その流れからハーヴェイ・ワインスタインをはじめとする、それぞれの世界で圧倒的な権力を持つ男たちによる数々のハラスメントや性的暴行が世に知られることになった。
2006年に黒人女性のアクティビスト、タラナ・バークが、MySpaceという当時主流だったSNSのプラットフォームに作った性的犯罪の被害者の会で、エンパシーと連帯の表現として使われたフレーズ「Me Too」が、2017年にハッシュタグとしてムーブメント化したことをきっかけに、職場における性的ハラスメントや犯罪が次々と可視化された。その流れで、構造上のジェンダー不均衡についての議論が再燃し、女性たちが格差や不均等の是正を要求する声が強くなったのだ。
日本社会を支配するスーツ姿の男性
多様性が主に人種と結び付けられる言葉だった時代が長かったことから、人種的多様性の低い日本では多様性が自分ごととして理解されるにはずいぶん時間がかかった。今も自分ごととして受け止められている人がどれだけいるのだろうか。
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