Sakumag週報 03/28-04/03/2022
3月末のニューヨークでは、春が来そうでなかなか来ないグズグズした天気が続いています。時々春のような陽気の日があっても、雨が降ったり、それが雪になったり、近所の木が倒れるほどの風が起きたり。この季節になると、ニューヨーカーが嫌う長い冬が、最後の最後に「そんな簡単に終わらないよ」とあざ笑っている表情を想像します。
来週は、久しぶりの出張仕事でLAに行きます。COVID前から一度も訪れていないLAに行けるチャンスに飛びついたのですが、蓋を開けて見ると、ぎょっとするほどの低予算。LAの友人に愚痴ると、「最近はどこもそうみたいだよ」と言われましたが、クライシスに乗じて予算を減らそうとする企業の姿勢には既視感があります。アメリカの企業でも予算削減が進んでいるようですが、日本の企業の場合はさらにその傾向が顕著です。媒体がブッキングした日本人のフォトグラファーさんと電話で打ち合わせをすると、「金銭感覚と物価が違いすぎて、もうほとんど日本の仕事はしていない」とのこと。私もこの気持ちは大いに共有するところですが、今、自分が仕事を選択することができるひとつの理由にこのニュースレターがあります。もしこれがなかったら、人権感覚の足りない企業の仕事を躊躇なく断れていたかどうか、自信がないくらいです。それでも自分は、生活のランニングコストは低いし、自分の選択をすることができるわけですが、かつてはノーと言えない時代があったわけで、今大いの盛り上がる労働運動の様子をハラハラとワクワクの入り混じった気持ちで見つめています。
今週の私的大ニュースといえば、アマゾンのスタテンアイランドの流通施設で組合組織の是非を問う投票が可決されたことでした。スタテンアイランドの組合運動のリーダーは、昨年、理由をつけて解雇された人で、彼が仲間たちと抱き合ったり、シャンパンを開けたりする姿に胸が熱くなりました。実は同じ日、もうひとつの組合運動の震源地、アラバマでも投票が行われていました。アラバマでは、昨年一度投票が行われ、組合化が否決されたものの、アマゾンからの妨害行為が認められて、再投票が行われたのです。こちらは僅差で「組合を組織しない」が「する」をわずかに上回り、今、400票あまりの正当性が争われているそうで、決着が着くのはまだ少し先のことになりそうです。アマゾンが反労働運動を専門とするコンサルタントに430万ドルもの大金を支払っていたとのニュースも出ていましたが、そこまでしても労働者に交渉権を与えることを避けたいのでしょうか(そういえば、昨年「世界」で労働運動の歴史について書いた原稿があったので、巻末に共有します)。
👉Amazon union leader Smalls went from rapper to voice of protest(Reuters)
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