Sakumag週報 05/30-06/05/2022
今日6月5日は国連が定める環境デーでした。みなさんはどんなことを考えながら、日々を過ごしているでしょうか。
私は、今週、地球のダメージを修復することはできるのか、ということを考えながら過ごしました。というのも、メイン州の有機農家さんが、自主的な検査によりPFASによる土壌汚染を発見し、廃業した、というニュースを読んで以来、地球の土壌が有機農業も不可能なほど汚染されているのだとしたら、もはや安全な食材などというものは存在しないのではないかと考え始めてしまったのです。PFASは、デュポンや3Dといった化学メーカーによって1950年代に開発され、熱や水に強く、柔軟で汎用性が高い性質が重宝されて、耐火材や防水材、食品の包装材や調理器具などに幅広く使われてきた有機フッ素化合物の総称で、永遠に分解されない「フォーエバー・ケミカルズ」として知られています。永遠は本当に永遠なのか、今後、分解する技術が開発される可能性はあるのか? 詳しくは、数日前に公開されたBusiness Insiderの連載に書きましたが(有料記事ですが、2週間後にはこちらでも配信します)、その疑問の答えは辛うじてイエスでした。辛うじてイエス、というのは、ごく最近になってPFASを分解する技術は発見されたようだけれど、実用化はされておらず、また、熱を使うため、それを実行するためにはさらなるエネルギーがかかるのです。
メイン州では、廃業する農家の支援と全貌の調査のための予算確保を議論しているようですが、同時にPFASを分解する技術が開発され、実用化されるのを待つ間にも、PFASは、どんどん私たちの日常品を通じて世の中に吐き出されています。いつまで経っても永遠に追いつかないいたちごっこのようです。
余談:編集を担当してくださっている浜田敬子さんから、日本でもPFASの汚染がすでに報じられていることを知りました。私も早速読んでみようと思います。『消された水汚染ー永遠の化学物質PFOS・PFOAの死角』(平凡社新書:Kindle)
人間たちが作り出してきた有害物質を分解する個別の技術はさておき、気候変動を止める最大の効果があるのは自然環境の再生です。これが具体的にどういうことなのか、このあたりも後日配信する記事を参照していただければと思いますが、ちょうど、環境デーを控えて、IPCCの第6次報告書の筆者のひとりである科学者が書いたコラムが話題になっていました。
👉 Let’s Not Pretend Planting Trees Is a Permanent Climate Solution(Zeke Hausfather for the New York Times)
今、サステナビリティ追求やCO2排出相殺の方策として植林をするや自治体や企業が増えていますが、多くの樹木にはCO2を一時的に貯めることしかできないため、植林は、スヌーズボタンを押し続けるほどの効果しかないとのこと。求められているのは、ただ木を植えるとか、太陽光パネルを設置するなどの単一のアプローチの乱発ではなく、エコロジーやバイオロジーを取り入れた全体的なアプローチなのだと感じています。
そういえば干ばつや水不足に悩まされる南カリフォルニアでは、大量の水を必要とする芝生を、サボテンをはじめとする原産種に取り替えるムーブメントが起きているようです。芝生を掘り起こすという作業はなかなかの力仕事ですが、水の使用量を減らす行為に行政がお金を払ってくれるそうです。植える原産種の選択や方法論については非営利の組織が相談に乗ってくたり、クラスを用意したりしているそうです。その土地の気候や条件だからこそ生まれた原産種というものは、人口的なメインテナンスの手間やかかる資源が圧倒的に低いのだと改めて考えました。
👉 On a block full of lawns, she ditched grass for a DIY drought-tolerant oasis(LA Times)
👉 変動の危機を食い止めるためには、地球環境を再生することがカギであることは自明なのですが、東京では再開発のための伐採計画が進められています。こんな状況で再開発のために都会の木を伐採するなどもってのほか。ぜひ署名にご協力ください。(神宮外苑1000本の樹木を切らないで~再開発計画は見直しを!Change.org)
👉 350 Japanさんから:
350 Japanでは6月末の株主総会に向けて、日本の3メガバンクのパリ目標に整合した気候変動対策と、化石燃料への融資の停止を求めて、署名を集めています。
こちらの署名は団体と個人として賛同できるもので、3メガバンクに市民の声を届けるのに使わせてもらおうと思っています。6月10日までに1万名の個人署名を集めるのを目標にしております。
ぜひご協力ください。署名はこちらから。
ここからはコラム形式にてお届けします。
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