Sakumag週報 2/7/2023
私が今1年の中で一番楽しみにしているイベント、ウタサ祭りが終了しました。
ウタサはアイヌ語で「交わる」の意。メインは、様々な場所からやってきた人々とアイヌが音楽を媒介に交差するライブイベントですが、映画「アイヌモシリ」制作中に、監督の福永壮志さんから誘われてまりも祭りの撮影にお邪魔してできた縁を通じて、トークショーをやりたいと相談いただき、去年からサブコンテンツとして出演者や阿寒湖・アイヌコタンまわりの人たちに話を聞く「ネウサラ」(楽しく話す、の意)というトークセッションの聞き手とし企画の段階から参加するようになりました。今年は、フチ(おばあさん)たちにおしゃべりしてもらう回、企画・運営を担当したアイヌ/和人混合チームが「ウタサとはなんぞや」を話す回、外部から阿寒湖に住み着いた人たちの回、阿寒で育った子供たちの回と4つのトークセッションをインスタでしました。
私がこれまで見てきた先住民の祭りやイベントは、祭事を行う人たちと、それを見せてもらう人たちの間にはくっきりと線があって、遠慮しながら見せてもらう、学ばせてもらう、というタイプのものばかりでしたが、伝統的な祭事ではないウタサは「一緒にやる」というところが存在意義でもあって、最初の頃は「和人なんだけどいいのかな」とおっかなびっくりしながら、それでも「あんたもやんなさい」という態度で接してもらえるので、いつしか自分もウタサの一員なんだと思えるようになって、この数日間、祭りにどっぷり浸かりました。祭りが終わるのはいつも寂しいけれど、今回は特に寂しくて、アイヌコタンの人たち文字通り泣く泣くお別れをして、今は、完全なウタサ・ロス状態です。
できあがった祭りは、過去3年とはまったく違う新しいものになったし、会場で観てくれた人の表情やSNSでの感想から、大成功に終わったといえると思うのですが、あれだけの祭りを数日という短い時間で観客に見せられる状態にする作業は控えめにいってもかなりの難行で、それをやりながら、遠くからやってくるたくさんの関係者をホストしてくれるアイヌの関係者、特に女性たちのホスピタリティには毎回恐れ入っています。特にディレクターの郷右近富貴子さん、アーティストを取りまとめるの床絵美さんの姉妹は、ウタサをやりながら、それぞれの店(アイヌ料理の店ポロンノとkarip)もあり、かつ育児もしつつ、大変そうだけどいつも楽しそうでもあり、私はその強さとしなやかさに完全にノックアウトされています。今も現役で歌ったり踊ったりしている70代、80代のフチたちも、家事や育児の合間にしていた肉体労働のエピソードから、かつて劇場で言っていた笑いを取るための口上の話まで、カラフルな思い出話をユーモアたっぷりにしてくれるのですが、このアイヌの女性たちの包容力はどこから来るのか、阿寒湖にたびたび登場するので「いつアイヌのこと書いてくれるの〜?」などと言われるのですが、どう言葉にして良いものやら、自分の筆力が足りない気がしてしまい、考えあぐねています。
今年のイベントで、企画・運営を手掛けたアイヌのディレクター2人(床州生さん、郷右近富貴子さん)、非アイヌのプロデューサー、舞台監督とともにやった「ウタサとはなんぞや」というトークセッションを計画したのは、今年まで行政から出たお金で運営されてきたウタサ祭りは来年から金銭的に自立しなければならないという事情があって、来年以降のことが決まっていない状態だからです。ライブ配信を観て「良かった!」という方は、ぜひまわりの方とシェアしていただけるとありがたいです。見逃した方にも観ていただける動画は、YouTubeのチャンネルに3月にアップされる予定です。
今週のお知らせ
👉【#反戦行進0225】(私はアメリカに戻るので参加できませんが、心と文字で参加します)
👉 署名 「難民を虐げ、在留資格のない人の命を危うくする、 入管法改悪に反対します!」
今週は、祭りから戻ったばかりで、日本政府のLGBTQについての意識があまりに遅れていることを含め、様々なニュースについて書けていないので、コラムの代わりに、昨年、モバイルプリンスさんをお招きして行ったSakumag Study「じぶんごとの沖縄」の書き起こしの第一弾をシェアします(書き起こし by はなさん)。
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