Sakumag 週報:年を越して
無事に2023年を迎えられた皆様、今年もよろしくお願いします。
大晦日の新宿から深夜のひとり競歩
「あけまして」と家族と季節行事をするとについての個人的考察
アンドリュー・テイトとグレタ・トゥーンベリのサーガ
RIPバーバラ・ウォルターズ
岸本聡子さん『私がつかんだコモンと民主主義』
ポストCOPと『カーボン・アルマナック』
Sakumag Slackから
大晦日の夜、友人と新宿で落ち合って、年越しそばを食べることになった。朝方、臨時電車で羽田空港に向かうという友人がJRの窓口でダイヤを確認するのを待っていると、日本語を話す東アジア系と思われる外国人が駅員と何度もわかりあえないやり取りをしているのに気がついた。彼は中野坂上方向に行きたいというが、東口の方向を示す駅員に「わからない」と訴えている。話しかけてみたところ、彼の片言の日本語から、普段は自転車で移動するので電車に慣れていないこと、日本語は話せるけれど、読むことができないこと、英語も読めないから、東口への行き方がわからないのだということがわかった。終電もギリギリだったし、乗りかかった船だと丸の内線の改札まで案内したが、切符を買うにも、彼の言語は選択肢の中に入っていない。日本語も英語も読めない人にとって、新宿のようなターミナル駅を歩き回ることがどれだけ大変なのかを体感した。
そういえば、ニューヨークに暮らしていると、車を運転してくれる人がパキスタンやバングラデッシュ出身ということがよくあるのだが、「日本に親戚(または友人)がいる」という話をされることがある。日本は安全なんでしょ?、日本人は親切なんだってね、と言われるたびに複雑な気持ちになるのだが、実際、南/東南アジアから働きに来てくれる人たちが私たちの「日常」の一翼を担ってくれているのは確かだろう。ところが、調べてみると、東京都交通局が外国語として採用しているのは、英語、中国語(繁体字/簡体字)、韓国語、タイ語、スペイン語、フランス語で、彼らの言葉はこの中に含まれていない。当然ながら、財力のある、観光客の多い国優先になっているのだろうが、労働力として来てくれる人たちは、最低賃金や基本的な人権保護どころか、言語のインクルージョンの対象にもなっていないのだ。
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彼を改札口まで送り届ける最中、新宿駅の構内で一晩を越そうという人たちがダンボール紙を敷いて準備をする姿が多数目に入ってきた。その後、賑わう二丁目を横目に年越しそばを食べて、普段と同じように始発を待つ人やコンピュータを広げて仕事をする人で賑わうカフェでお茶を飲んで解散した。タクシーに乗ろうとのんきに構えていたのだけれど、大晦日の夜半すぎに乗れるタクシーなど見つかるはずもなく、しょうがないので深夜の東京をひとり、歩いて帰宅することにした。そもそも徒歩で帰れる場所に母が暮らす家があること、帰る家があることに感謝しつつ、考え事をしながらの深夜のひとり競歩。
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