Sakumag Letter 12.8.2023
Tokyo Art Book FairでデビューしたWe Are Learningのオンライン販売を始めました。
第2弾のテーマはジェンダーになりました。ちょっと前まで知らない同士だった人たちが、集まって、モヤモヤをシェアしたり、失敗談を共有したりしたり、相談したり、作品を持ち合ったりしながら、本を作りました。
来年は、みんなの友達のような存在になれる本を書きたいなと思っているのだけれど、Sakumag Collectiveの本は、自分にとっては、友達のような存在です。友たちが作ってるのだから当たり前といえばそうなのだが、数年前まで知らなかった同士が、雇用やもともとの友人関係でないつながりで集まって本を作っていることが、希望の種であり、根っこであります。
KADOKAWAが、医学的にもデータ的にも根拠のない家父長制を固定するためのヘイト扇動本を出そうとしていたことについて。個人的には驚きはなく、また抗議を受けて刊行を取りやめたことも、ヘイト本を出さないと発表していた出版社なのだから、やめなかったらおかしいでしょうよ、と思う一方、出版業界の今のあり方を見ると、いまだにことの深刻さが理解されていないような気がするし、ヘイト扇動の本であろうと「女性と子供を守る」というような詭弁を使って何人かの人を味方につければするっと出てしまうだろうということは容易に想像できる。刊行停止のお知らせを見ても、ことの本質が理解されているのか不安になったし、刊行を取り止めたことで「キャンセルカルチャー」「圧力に屈した」と騒がれることも想定範囲内の出来事で、翻訳しようとした時点で一定のダメージは起きてしまったように思う。蓋を開けてみたら、ゲラを極右、保守、陰謀厨の人たちに配布していたことが明らかになり、予想以上に担当の人が、そっちの方たちに影響を受けていたことが推察されて失笑していますが、笑っている場合ではないのでした。
アメリカで同性結婚が合法化されてから、右派や宗教保守が、子供たちをグルーミングから守れとか、リベラルやLGBTQはペドファイルだとかの身が震えるような醜い戦略を取り、特にトランスジェンダーを標的にして、生まれた時にアサインされた性別とともに生きることを政策を通じて強制しようとしてきました。そして、これが今、日本に輸入されて、プロパガンダとして使われています。こうした考えを喧伝している人たちは、どういうわけか、トランスジェンダーの存在を認めることが、自分たちの安全を脅かすのだから人を攻撃しても良いのだと心から信じているように見えて、頭を抱えてしまうのだけれど。しかし、頭を抱えている場合ではない。自分にできることは一体なんだろうと考えると、地道に自分が作れるものを作るしかない。
今回のハッシュタグは#こわがらなくていい世界へ になった。今の世の中、はっきり言って怖い。普段はジェンダーのジの字を言わない人、不均衡や不平等の解消に無関心だったり、むしろ抵抗を示すタイプの人たちが急に「女性と子供を守る」と言い出しているのが怖い。家父長制に反対している人が、他人の性やジェンダーのあり方を規定しようとするのが怖い。世の中に善意と無知の皮をかぶったマクロアグレッションが溢れているのが怖い。怖いことは尽きない。怖い時、私は、怖くない世界をイメージして目を閉じる。誰もが、安全な気持ちで愉快に生きられる場所を。
この数年、個人的な財政的な事情によっても、出版業界で仕事をし続けることへのモチベーションを維持するのが難しく、こういうことが起きるとますます嫌気がさしてしまうのだが、こんな状況の中、Sakumagの本を出すことは、できるだけ安全な場所を作りたいという思いの発露であり、実践の試みです。
足りないところもまだある。情報保障の面では圧倒的に遅れているので、2024年の課題にしたいです。あと今回も「はじめに」を書かせてもらったけど、次は私じゃない人が書いたら良いかも!
正直にいうと、これを金銭的に成立させるのはなかなか大変です。サポーターは、常に大歓迎です💛
1000部も刷ってしまった!Tokyo Art Book Fairでたくさん旅立っていったようだけど、まだまだあります。できるだけ多くの人に手に取ってほしいなあってなとこで、オンラインの販売を始めました。お店からのオーダーも受け付けています!
おしらせ!
12月15日〜17日、東京でイベントをします。
15日 18時〜アクティビスト交流会(事前予約不要)
16日 12:30〜15:00 (この時間はショップ営業はしておりません)
モヤモヤを文字で表現してみようーー ライティングワークショップ(私担当)(定員16名)
市川瑛子さんとヨガ 15:30~16:30(定員10名)
モヤシェアの会 17:00-19:00(事前予約不要)
18日 編み会 (事前予約不要)
ダーニングの会 (事前予約不要)
+スクリーン
参加方法については追ってお知らせしますが、参加を考えている人はぜひカレンダーに書いておいてください。
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