Sakumag週報:4/10-4/17/2022
モンタナへの旅で考えたこと
ブルックリンの銃撃事件
スターバックスとアマゾンの組合運動
表現の自由と現実世界のヘイト
Sakumag Collectiveの今後
今週のSakumag Slackから
ニューヨークに戻ってきました。仕事で訪れたLAから北上して訪れたモンタナで過ごした6日間は、久しぶりに仕事や家族と関係ない旅になりました。当初の予定では、ミズーラで2日間スキーをし、その後、同居人の実家のあるハヴア(5時間くらいかかります)を訪れる予定だったのですが、彼が乗ってきたトラックが故障し、結局6日間をミズーラで過ごすことになりました。最初はホテルに泊まっていたのですが、トラックが故障した時点で、彼の友人カップルから「お金の無駄だからこっちにこい」という司令を受けて、ティーンエージャーの息子2人のいる家庭に身を寄せることになりました。モンタナは、全米でも有数の保守州ですが、ミズーラはリベラルな大学街で、彼の友人の多くは、一度はポートランドやシアトルなどに移住したけれど、それが嫌になって帰ってきたという人が多く、今、保守州のど真ん中にコミュニティを形成するリベラルな人たちです。誰もが家に銃を所持しているハヴアと違い、特に緊張感もないまま、価値観の似た人たちが暮らす毎日がパーティのような家で、のんびり仕事をしながら、日々、それなりの量のアルコールを消費しながら過ごしました。
自分が緊張していたのだなと気がついたのは、最後の飛行機から降りたときです。アジアンヘイトの話を聞いたり、機内で暴れる人たちの映像を見ることもすっかり当たり前になった昨今、とりたて悪いことも起きずにホームタウンに帰ってきたことにホッとしたのでしょう。水曜日の深夜24時頃JFK空港に到着し、駐車場までのシャトルで、白人家族のごく当たり前な会話や流れてくるスペイン語にほっこりし、車をピックして自宅を目指しながら、今回の旅を反芻しました。
旅というものは、不特定多数の人と袖が触れるものです。こういう時代になってスキー場の片隅にひとりの身を置いたり、乗り継ぎのために空港で何時間かを過ごしたりする中で、自分の外見がアジア人女性のそれであるということが、常に頭の片隅に存在していることに気が付きました。今回、連れ合いが改めて「自分のパートナーがアジア人だということで、それまで見えなかったレイシズムが見えるようになった」と話していました。そういえば数週間前に、ニューヨーク州北部のキングストンで、これまでアメリカ一周の旅を2度一緒にしたグレースが「もうあんな旅はできないね」と話していました。2008年、2012年の大統領選直前に市井のアメリカ人のポートレートを撮る車の旅をし、グレースが妊娠して旅に出なかった2016年、トランプが勝ってしまった。それとともに自分たちがこの国を見る眼差しが確実に変わり、もうかつての自分たちには戻れないのだと改めて考えていたところでした。こうして何事もない平和な旅が終わってみると、世の中の大多数の人たちは善意の存在なのではないか、私たちがメディアで見せられている分断は、誇張されたバージョンなのではないかと思いかけたくもなるのですが、やはり政治的な現実は分断を示していて、どこに立っているかで見える現実が違うのです。
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